ZEHを建てる場合、高断熱建材や高性能設備の使用、また住宅用発電設備の設置が必要になりますので、当然一般住宅と比べて建設コストは高くなります。そのため、ZEHを検討されている方にとって、最も大事なポイントは費用対効果でしょう。果たして高い投資に見合うだけのリターンを得られるのでしょうか?
本記事ではZEHと一般住宅のそれぞれ長期的にかかる費用を徹底的に比較してみました。
建設費用及び補助金について
ZEHの建設費用は一般住宅と比べておよそ300-400万円程度高いと言われております。
ご存じの方も多いかと思いますが、ZEHを建てる場合、国から補助金をもらえる可能性があります。平成29年度は条件を満たすZEHに対して75万円の補助員が出ることとなっておりますので、今ZEHを購入する場合は一般住宅に比べて200-300万程度の追加費用ということになりますね。
ですが、補助金については平成29年度時点で平成28年度より50万円下がっていることもあり、今後ももらえるかどうかは定かではありません。政府がZEHは十分に普及していると判断した時点で、恐らく打ち切りになりますので、そう長くは続かないと考えておいた方が無難でしょう。
そのため、以下の費用比較では補助金を考慮しない上での比較としたいと思います。
総費用比較
35年の総費用を比較するにあたり、ポイントになる数字はZEH追加費用、住宅ローン金利、月々の光熱費の3つとなります。ここでは順に400万円、1.5%、2.3万円/月と仮定しました。なお、ZEHの場合は売電益が多少出る可能性がありますが、ここでは考慮しないこととします。
以上の前提における35年総費用比較を表1に纏めましたのでご覧ください。
表1
一般住宅(万円) | ZEH(万円) | |
土地費用 | 2,000 | 2,000 |
建設費用 | 2,000 | 2,000 |
ZEH追加費用 | 0 | 400 |
金利(1.5%) | 1,144 | 1,258 |
光熱費(2.3万円/月) | 966 | 0 |
計 | 6,110 | 5,658 |
ZEH追加費用と光熱費を固定の上、金利を変動させたときのケースも以下の通り表2,3,4に纏めましたのでご覧ください。一般住宅の総費用が6,110万、ZEHが5,658万とZEHの方が452万メリットある計算となりますね。もちろん住宅ローン総額はZEHの方が400万円高い想定ですので、金利が高くなればなるほど、このメリットは小さくなります。
表2
一般住宅(万円) | ZEH(万円) | |
土地費用 | 2,000 | 2,000 |
建設費用 | 2,000 | 2,000 |
ZEH追加費用 | 0 | 400 |
金利(3,0%) | 2,465 | 2,712 |
光熱費(2.3万円/月) | 966 | 0 |
計 | 7,431 | 7,112 |
表3
一般住宅(万円) | ZEH(万円) | |
土地費用 | 2,000 | 2,000 |
建設費用 | 2,000 | 2,000 |
ZEH追加費用 | 0 | 400 |
金利(4.5%) | 3,951 | 4,346 |
光熱費(2.3万円/月) | 966 | 0 |
計 | 8,917 | 8,746 |
表4
一般住宅(万円) | ZEH(万円) | |
土地費用 | 2,000 | 2,000 |
建設費用 | 2,000 | 2,000 |
ZEH追加費用 | 0 | 400 |
金利(6.2%) | 5,806 | 6,386 |
光熱費(2.3万円/月) | 966 | 0 |
計 | 10,772 | 10,786 |
表2、3、4の通り、金利が高くなればZEHのメリットは小さくなり、金利6.2%の時点で逆転することがわかりますね。
もちろん絶対にとは言い切れませんが、6.2%という非現実的な金利を見ると、35年総費用比較において、ZEHの方がメリットあることは間違いないと言えるかと思います。
纏め
- ZEHと一般住宅を比べた場合、建設にかかる追加費用は約300-400万円程度。
- 住宅を購入してからの35年を比較したとき、ZEHは一般住宅と比べて300-500万円程度総費用が低くなる。
以上ZEHと一般住宅の総費用比較でした。月々の光熱費や金利等は状況や人によって変わる要素ですが、あくまでサンプルとしてZEHを検討されている皆様のご参考になれば嬉しい限りです。